受験勉強の様にわりと長い期間をかけて準備する様な物は、一度覚えたとしても、三ヵ月後、半年後に思い出せなくては今している勉強が何のためなのか分からなくなってしまいます。

今思い出せても、今どれだけ頑張って覚えたとしても、一定期間後の大学試験本番に思い出せなくては点数に結びつかないからです。

そのため、合格点に到達するためには、今暗記している事を長く覚えておかなくてはなりません(長期記憶)。

長期記憶にするには単純な話で、よく使う知識なのかどうか?だけです。

そして、『よく使う』というのは、一回あたりに長い時間使うかどうかではなく、回数が多いかどうかが重要になってきます。

一回あたりの時間が長いから長期記憶になるのではなく、その知識を使う頻度が多いと長期記憶になっていきます。

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長期記憶(記憶の定着)に大事なのが時間なのか回数なのかの例

長期記憶(記憶の定着)に大事なのが一回当たりの時間なのか、頻度(回数)なのかを知るために、例としてバスツアーの添乗員の人と、近くのコンビ二の店員の人の記憶の定着を比べてみます。

記憶が定着して(長期記憶になって)、その後も長く覚えていられるのはバスの添乗員さんなのかコンビニの店員さんなのかっていう比較です。

コンビニの店員さんの“情報”に触れる時間と回数

コンビ二に行ってその店員さんの顔を見るのが週に一回あり、レジをやってもらう時間が30秒くらいだとすると、一年は52週なので、52週×30秒で一年間に1560秒=26分その店員さんの情報に触れる事になります。

一年の内26分が、コンビニの店員さんの“情報”に触れる時間があります。

回数は1年の内52回です。

=記憶に使える時間が年に26分で、回数が年に52回

バスツアーの添乗員さんの“情報”に触れる時間と回数

バスツアーの添乗員さんの場合、移動時間がトータルで5時間くらいだとすると、添乗員さんの“情報”に触れているのは少なくても3時間くらいあると思います。

バス車内だけではなく、バスを降りてから添乗員さんが案内してくれる場合には、もっと添乗員さんの情報に触れる事になります。

回数としては、年に1回です。

=記憶に使える時間が年に3時間で、回数が年に1回

記憶が定着している方が長期記憶で忘れている方が短期記憶

この後、引っ越しとかをして、もうコンビニの店員さんにも会わない状態になっているとします。

&引っ越しをする時期にバスツアーに行ったとします。

この状態で、コンビニの店員さんとバスの添乗員さんだと、どちらならば一年後に顔写真を見せられた時に判断が付きそうですか?
(どちらも最後の記憶に使える時間から1年経った状態)

記憶が定着している方の記憶が長期記憶で、忘れている方の記憶が短期記憶です。

ほとんどの場合、コンビニの店員の人の写真を見た時はすぐに「コンビニの店員の人」と判断がつくと思いますが、バスの添乗員さんの写真は結構考えても「ちょっと誰だか分からない」ってなります。

時間的には3時間(180分)と26分で、情報に触れているトータルの時間にはかなりの差があるのに、一年後に何も考えずに思い出せる記憶になっているのは、時間的には少ない『26分』だけど回数的には多いコンビニの店員さんの方です。

この例では、長期記憶になっているのはコンビニの店員さんの記憶で、短期記憶で終了していたのがバスの添乗員さんの記憶って事になります。

コンビニとかじゃなくでも、例えば、昔住んでいた所のよく行っていた飲食店の店主の人とか、子供の時にめっちゃ行ってた駄菓子屋さんの人とか、そういう場合には思い出せる事もあると思います。

が、昔行った2泊3日とか長めの修学旅行のバスの添乗員さん等は思い出せる事はあんまないかと思います。折に触れて写真とかで見ていない限り。

=記憶の定着、長期記憶には、触れている時間の長さよりも回数が大事

短期記憶から長期記憶への移行には期間をかけた上での回数が重要

短期記憶から長期記憶への移行には期間をかけた上での回数が重要です。

これは勉強した内容(短期記憶の状態)を長期記憶にしたい場合も同じです。

覚えたい知識に触れる一回当たりの時間が長いという事よりも、その知識に触れる回数がどれだけ多いか?が長期記憶にするには、大きな要因になってきます。

例え一回当たりの時間が10秒だったとしても、回数が多ければ長期記憶にはなっていきます。

なので、反復がかなり重要で復習が大事だと叫ばれているわけです。

時間がないという時は、バァーッと短い時間で済ます復習でも、“情報”に触れる頻度が増える事に変わりはないですから、知識を放置している場合と比べると、かなりの差が出てきます。

使わない情報は記憶していても、役立つ場面がないという事ですから、その情報はすぐに記憶からなくなっていきます。

使わない情報を『長期に渡って忘れない記憶』にする事はほとんどありません。

=短期記憶から長期記憶に移行せず、その後自分の頭だけで思い出すのは難しい状態の記憶のままになる
=大学受験、高校受験本番や資格試験本番などで思い出せず点数に繋がらない勉強をしてた事になっちゃう

ですので、長期記憶にするには、例え勉強でしか使わない知識だったとしても、『使う知識』にしておく事が大切です。

これから先に何回も使う場面がある情報を忘れてしまっては、何のためにある「記憶という能力」なのか分からないですよね?

『常に使う』って事が記憶するには基本的で重要な要素です。

=折に触れて復習する(思い出す時に“使う”事になるので。)

上述した様に時間はかけなくて良いです。

期間をかけて、回数を意識して復習する様にしていくと勉強した内容(短期記憶の物)を、長期記憶にする事ができます。

長期記憶が苦手でできないって時は関連付けておくのがコツ

また、長期記憶にするための暗記作業が苦手でできないって時は、覚えたい物に何かしらのヒントを関連付けておくのが役立ちます。

関連付けが長期記憶にするためのコツって感じです。

例えば、先程の顔写真の話で、コンビ二の店員の人とバスの添乗員の人がそれぞれユニフォームを着て写っていた場合には、どうなってきますか?

コンビニの店員の人を見たら最初は「コンビニの店員の人」という答えだったのが、ユニフォームまで情報として入ってきたら、「間違いなく前住んでた所の近くのコンビニの店員の人!」となると思います。

=長期記憶レベルになっている物は更に記憶が強化される

バスツアーの店員の人は、もちろん思い出せない事も多いですが、最初の写真では「会った事があるのかどうかも分からない」という答えだったのが、『バスツアーの添乗員の人』というユニフォームによるヒントがあると、いきなり「〇〇に行った時に乗ったバスでお世話になった添乗員の人!」となったりもします。

ほぼ思い出せないレベルだったのに、記憶を呼び起こすヒントがあると思い出せる事があるわけです。

一年間全く反復していなかった情報でさえ。

=短期記憶レベルの物も思い出しやすくなる
=自分の頭だけで繰り返しやすくなるので暗記しやすくなる

ですので、長く覚えておくためには反復が何よりも重要な事に変わりはないですが、ヒントをつけておくのも重要です。

このヒントが関連付けです。

もう既に自分の中にある長期記憶に新しい記憶をくっつけておくと(関連付けておくと)、既にできていた長期記憶を思い出した時に、新しい記憶(長期記憶にしたい知識)も一緒に思い出しやすくなります。

ヒント(=バスツアーのユニフォーム)と一緒に、新しい記憶(=〇〇行った時)が呼び起こされます。

他にも、ヒントをきっかけに、どんな旅館に泊まったとか、どこを見に行ったとか、どんな話をしたとか、その時の旅行の思い出が再度思い浮かんだりします。

ヒント(関連付け)があれば、付随して記憶が呼び起こされます。

関連付けは、自力でもムリヤリ作る事でも記憶を呼び起こす効果があります。

また、上述した様に、ヒントがあると覚えやすくもなりますので、反復しやすくなり、長期記憶に更にしやすくなります。

関連付けには以下の方法などがあります。

長期記憶にする方法のまとめ

長期記憶にする方法をまとめると、以下の様になります。

  • 一回の時間ではなく、回数を重視する。(バスツアーなのか、コンビニなのか)
  • どれだけ短くても、頻度が増える事に変わりはないからテキトーでも復習は効果がある
  • 使う情報だからこそ記憶するべきと脳に判断される
  • 長い事使わない情報なら忘れても良いと判断される
  • ヒント(関連付け)があれば、思い出しやすいし覚えやすい。

勉強しているのになかなか覚えられないという場合には、『一年に一回しか出てこない情報を長く覚えているほど脳は暇じゃない』って感じで、時間は短くても良いので“触れる回数”を意識し、繰り返しを重視した勉強の時間をとる様にしてみて下さい。

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